top of page

【JOCVインタビュー】金井美紀さん(2023-4)~食用作物・稲作栽培隊員~

  • 2025年6月1日
  • 読了時間: 13分

更新日:5月5日

ウガンダでJICA海外協力隊の食用作物・稲作栽培隊員として活動され、2026年4月に任期満了に伴い帰国された金井美紀(かないみき)さん。帰国直前に2年間の活動のふりかえりとして、UG取材班が任地に訪問し活動内容や赴任先での生活の様子をインタビューしました。 

Profile

金井 美紀(かない みき)

隊次:2023年4次隊

職種: 食用作物・稲作栽培

活動場所: Hoima県

配属先/活動内容:ブリンディ地域農業調査開発研究所/稲作に関する栽培実験、指導、蜜蝋ラップ作製・販売など

【協力隊員に聞きました!!】

~2年間の活動を振り返って~


──最初に自己紹介をお願いします!

2023年4次隊、金井美紀です。ウガンダ西部のホイマで活動しています。職種は食用作物・稲作栽培です。配属先は、ブリンディ地域農業調査開発研究所 (通称BUZARDI: Bulindi Zonal Agricultural Research & Development Institute) です。


──活動内容を教えてください

主な活動内容は、まず稲作に関する栽培実験です。私が活動している地域では、水田ではなく、水を使わず畑で育てる「陸稲」という農法が一般的です。そのため、現地で行われている方法を実際に試してみたいと考え、稲と豆を交互に植える混作栽培の実験を行いました。


また、同じホイマで職業訓練校に派遣されている隊員の方とのつながりを通じて、農業コースの生徒たちに稲作を教える活動をしました。生徒たちと一緒に稲を植えたり、稲作に関する講義を行ったりしています。

あと最近では、バイオ炭の普及と製造にも取り組んでいます。バイオ炭は、トウモロコシ収穫後の残渣やバナナの葉などの植物資源を、低酸素状態でじっくり燃やすことで炭にしたものです。灰にせず炭化させたものを畑にまくことで、土壌改良の効果が期待できます。地域資源を活用しながら、持続可能な農業につなげる活動として進めています。

みきさんが作製したバイオ炭
みきさんが作製したバイオ炭

──1日のスケジュールを教えてください

8:00 起床、朝食

9:30 畑で作業

13:30 昼食

14:00 オフィスで作業

16:00 畑で作業

18:00 帰宅

24:00 就寝


1日のスケジュールは、忙しい日について話しますね(笑)

まず、朝8時頃に起床して、朝食をとった後、9時半頃に自分の実験圃場へ向かいます。畑では主に除草作業を行いつつ、暑さが厳しくなっていくので、水分補給や日陰での休憩を挟みながら作業を続けます。


お昼頃になると、近くの子どもたちが昼食のために帰宅する様子を見て時間を確認し、自分も家に戻って昼食をとります。午後は気温が高いので、外での活動は控えめにし、自宅やオフィスでパソコン作業などを行います。そして16時頃、暑さが和らいできたタイミングで再び畑に出て、夕方18時頃まで除草などの作業を続けます。


その後は帰宅してシャワーを浴び、19時頃に夕食をとります。夜は動画を見たりしながら過ごし、深夜0時頃に就寝します。

実験圃場はとにかく広かったです。歩いて移動するだけでも汗が噴き出ました
実験圃場はとにかく広かったです。歩いて移動するだけでも汗が噴き出ました

──楽しいこと・大変なことはありますか?

活動していて楽しいと感じるのは、自分の専門である稲作に関わりながら、周囲の人が興味を持ってくれる瞬間です。畑で作業をしていると、通りがかった人から「何をしているの?」「どんな実験をしているの?」と声をかけてもらうことがあり、そのように関心を持ってもらえることに大きな喜びを感じます。まだ稲作が一般的ではない地域だからこそ、興味を持ってもらえることは特に嬉しいです。


また、職業訓練校で学生たちと一緒に稲作を行い、質問を受けたり、現地の農業状況について一緒に考えたりする時間も非常にやりがいがあります。ウガンダで起きている農業の課題について問いかけ、学生たちが真剣に考えてくれる姿を見ると、自分の知識や経験を共有する意義を実感します。日本人である自分が、ウガンダの状況を現地の人々とともに考え、伝えていくことにも面白さを感じています。


一方で、大変なこともあります。稲作がまだ広く普及していないため、活動を進めにくい場面も少なくありません。配属先にも稲作を専門とする人がおらず、実際の農家との距離もあるため、自分の行っている実験と現場のリアルな農業との間にギャップを感じることがあります。そのため、「この実験は何のために行っているのだろう」と悩むこともあり、活動の意義について考え込んでしまうこともありました。


ホイマの職業訓練校での授業の様子
ホイマの職業訓練校での授業の様子

──過去の経験が生きていると感じることはありますか?

これまでの経験の中で、現在の活動に大きく生きているのは、大学時代に1年間休学して参加したアジア学院でのボランティア経験です。アジア学院は、さまざまな国から学生を受け入れ、有機農業を実践しながら共同生活を送る教育機関でした。多国籍な環境の中で、アフリカ出身の学生やアメリカ人のルームメイトと生活を共にしたことで、英語力を大きく伸ばすことができました。


また、有機農業そのものにも深く関わり、学校の中での食料自給率が95%くらいと非常に高い環境の中で、食べるものを一から作る暮らしを経験しました。農業だけでなく、生活そのものを通して持続可能なあり方を学べたことは、とても貴重な経験でした。さらに、アジア学院にはウガンダ出身の学生も在籍しており、そのつながりを通じて、過去にウガンダから来ていた卒業生を訪ねる機会もありました。現地で学んだことをコミュニティに還元している姿を見て、そのネットワークの広がりや影響力を実感して、とてもうれしかったです。


大学卒業後、派遣前の期間には地元にあるJICA筑波でインターンとして活動しました。そこでもアフリカやアジアからの研修員を受け入れ、農業分野の研修が行われており、私は稲作研究コースに携わりました。このコースを修了したウガンダの方にも会い、日本にいながらウガンダの農業や社会について直接話を聞く機会に恵まれました。こうした過去の経験や人とのつながりが、現在のウガンダでの活動を支える大きな土台となっています。

JICA筑波でのインターン時代
JICA筑波でのインターン時代

──生活について教えてください

生活インフラについては、非常に恵まれていたと思います。前任者からは断水が頻繁にあると聞いていたため、赴任前はある程度覚悟していました。でも、実際に断水したのは赴任初日の一日だけで、その翌日には問題なく水が使えるようになりました。その後は一度も断水を経験しておらず、非常に安定しています。周囲では断水している時でも自宅では水が使えることがあり、特別な配管が通っているのではないかと思うほどです。日常的に水が安定して使えることには、とてもありがたさを感じています。


一方で、停電は時々発生します。特に雨季には、ほぼ毎日のように停電することもあります。ただ、JICAが設置してくれたソーラー設備のおかげで、充電や最低限の電力確保が可能なため、生活に大きな支障はありません。電力会社の工事によって3日間ほど電気が使えなかった時期はさすがに大変でしたが、それ以外は比較的快適に生活できています。

ライ君といっしょに生活している
ライ君といっしょに生活している

──ウガンダに来てからのイメージの変化はありましたか?

ウガンダに来る前は、日本は多くの支援を行っており、日本車も数多く走っていると聞いていたため、現地の人々も日本についてある程度知っているのではないかと考えていました。


しかし、実際に生活を始めてみると、そのイメージは大きく変わりました。街を歩いていると「チャイナ」と声をかけられることが多く、アジア人全体に対する偏見や、中国人として一括りにされる場面に直面し、大きな衝撃を受けました。「中国人ではなく日本人です」と伝えると理解してくれる人もいますが、必ずしもそうではなく、日本に対する認知度が想像以上に低いことを実感しました。


実際に現地の人々に日本について尋ねても、「よく知らない」「アジアのどこかにある国」といった漠然とした認識しか持っていない場合も多く、中には「南アメリカにあるんでしょ」と日本の場所を正確に理解していない人もいました。この経験を通じて、日本が支援を行っていることと、日本そのものが広く認識されていることは必ずしも一致しないのだと感じました。


アジア人として偏見の対象になる経験は初めてで、自分自身が差別や先入観の対象になり得ることを実感しました。日本が支援をしているにもかかわらず、そのような扱いを受けることに複雑な思いを抱くこともありましたが、同時に異文化理解や国際協力の現実をより深く考えるきっかけにもなりました。



──任地のいいところを教えてください

ホイマのいいところは、程よく都会的なところです。カンパラからも6時間弱くらいで来られるので、そこまで遠くありません。基本的に何でも?そろっていて、生活に困らない程度のものは一通り買うことができます。


また、ホイマでは石油の開発が進んでいるため中国企業の進出もあり、中国人も比較的多くいます。その影響で中華料理屋が今は2軒できています。さらにスタジアム建設が行われた際にトルコの会社が関わっていたこともあり、トルコ料理店もできていて、食の面ではかなり便利になっています。


──蜜蝋ラップの活動について教えてください

はい、蜜蝋ラップを始めたきっかけは、配属先で養蜂を行っていて、蜂蜜を採ったり蜜蝋も作っていると聞いたことです。そのときにすぐ蜜蝋ラップを思い浮かびました。日本でも使っていたことがあり、自分にとって馴染みがあったのも理由です。さらに、カラフルなアフリカ布(チテンジ)で作ればかわいいと思い、制作を始めました。また、ウガンダはゴミが非常に多く、食べ物など生活に直結する部分から環境問題にアプローチできればという思いもありました。


展開については、当時周りにクラフトをしている隊員がいたので話を聞きつつ、まずインスタグラムのアカウントを作り、写真や動画で使い方を発信しました。作っても売り先がないと意味がないと思い、エコやリサイクルに取り組むお土産屋さんに直接取り扱いをお願いしました。結果、1軒目はオーガニック系のお店、2軒目はリサイクルガラス製品を扱うお店に置いてもらえることになりました。さらに観光地であるジンジャでの調査中に見つけたお土産屋さんにも直接交渉し、取り扱いが始まりました。

みきさんが作製販売している蜜蝋ラップ
みきさんが作製販売している蜜蝋ラップ

また、ウガンダで行われている日本祭りなどのイベントやジンジャの月1マーケットなどでも販売する機会があり、お店で見たという人から声をかけてもらうこともあり、地域イベントでの展開は大きかったと思います。


今後、蜜蝋ラップについては、後輩隊員の福田裕君が引き継いでくれることになり、安心しています。アドバイスとしては、毎月一定の売り上げもあり、それが継続されるのは嬉しいですし、お客さんにとっても良いことだと思います。また、ジンジャのお店の方も「他にない商品で良い」と言ってくれているので、そのまま続いてほしいです。最後にメッセージですが、無理に大きくしようとせず、副業のような形で気楽に続けるのが良いと思います。メインの活動で疲れたときの“逃げ場”として蜜蝋ラップがあるくらいの感じで良いと思います。私はそんな感じでやっていました。


【配属先のアマンダさんに話を聞きました!】


Profile

名前:ジョーキン・アマンダ(Juckey Amanda)さん

役職:ファームマネージャー(元JICA筑波研修員)


──みきさんとの2年間はどうでしたか?

彼女と2年間一緒に働いてきた中で、私にとってその経験は非常に興味深く、多くの学びに満ちたものでした。


私たちの研究所では、通常オフィス勤務のスタッフは現場に足を運ぶことが少なく、それが一般的な働き方とされてきました。しかし、彼女はその常識を覆しました。オフィスに所属していても、現場に出て地域の人々と直接関わるべきだという姿勢を、自ら行動で示してくれたのです。それは私たちにとって非常に新鮮であり、周囲のコミュニティにとっても大きな刺激となりました。


彼女は、立場や役職、人種に関係なく、誰もが現場を理解し、人々と共に働くべきだということを体現していました。その姿勢は、研究所のスタッフだけでなく地域社会にも良い手本を示しました。日本人としての彼女の仕事への向き合い方や日々の振る舞いは非常に模範的で、私たちウガンダ人とは異なる新しい視点をもたらしてくれました。


また、彼女は人間関係の築き方にも優れていました。地域住民、近隣の商店、他センターの人々とも自然に信頼関係を築き、誰とでも分け隔てなく接していました。私自身が距離を感じていた人々とも、彼女はすでに強い結びつきを持っていたのです。彼女からは、仕事だけでなく、振る舞いや人との接し方についても多くを学びました。2年間の活動の中で、彼女に対する不満や対立の話は一切ありませんでした。それほどまでに、彼女は研究所の方針を理解し、コミュニティと調和しながら活動してくれました。


以前活動していた日本人ボランティアも同様に素晴らしい人物でしたが、彼女もまた非常に優れた人材でした。どのように選ばれているのかは分かりませんが、日本から来るボランティアの方々は本当に素晴らしい人ばかりです。


さらに、彼女は任地に到着してすぐにコーヒーの苗を植えました。そのコーヒーは現在「カルンジ・コーヒー」(「カルンジ」は美紀さんの現地語名)と呼ばれ、大切に育てられています。彼女が帰国した後も、このコーヒーの木は私たちが守り続けていくつもりです。


みきさんと「カルンジ・コーヒー」
みきさんと「カルンジ・コーヒー」

彼女との2年間は、私たちにとって単なる協働ではなく、研究所、地域社会、そして私自身にとって大きな成長の機会でした。彼女が残してくれたものは、これからも長く私たちの中に生き続けるでしょう。


──アマンダさん、ありがとうございました


──みきさんの今後について教えてください

ウガンダから帰国後の今後のプランとしては、気になっていることが2つあります。1つ目はコーヒー事業です。ビジネスとして日本と海外の両方に関わるような仕事に携わりたいと考えています。その理由は、ウガンダでお米のプロジェクトに関わる機会がありましたが、実際に現場へ行っても成果やインパクトがあまり感じられないことが多く、一方的な支援の形に違和感を持ったためです。だからこそ、支援という形ではなく、持続的なビジネスとして関われる関係性をつくりたいと思っています。


2つ目は少し方向が違いますが、日本国内の若い人に農業の楽しさを伝える活動に興味があります。ウガンダでは人口の7〜8割が農業に従事していると言われますが、その背景には教育機会が限られ、結果として農業に従事せざるを得ないという社会構造があります。一方で今後発展していくと、教育機会が増え、農業に関わる人は減っていく可能性があると感じました。これは日本の状況にも似ていて、日本でも農業従事者の高齢化や人手不足が進んでいます。ウガンダはまだ貧困などの構造によって農業が維持されている部分がありますが、日本はすでにその段階を超えているとも感じます。だからこそ、日本の農業をまず何とかする必要があるのではないかと思いました。


日本で農業の楽しさを伝えるモデルをつくることができれば、それが将来的にウガンダや他の国にも応用でき、同じような状況を防ぐヒントになるのではないかと考えています。そのため、農業の魅力を伝える仕事にも取り組みたいと思っています。このように今は2つの方向性で悩んでいます。

みきさんのお気に入りの場所。
みきさんのお気に入りの場所。

──最後にみきさんにとってウガンダとは?

私にとってのウガンダは、「好きとか大切を教えてくれる場所」です。私の配属先、私が住んでるところって緑いっぱいで、あんまり人工の音も聞こえれば聞こえるけど、鳥の音とか虫の音とかがメインです。でもそれがカンパラとかホイマの中心部に来ると全然違うし、首都のカンパラにいるとすっごいストレスだし、、、自然って私にとって本当に大事なんだなって。大事だし大切にしたいなっていうのをすごい気づかされたし、自然って好きだなっていうのを本当にウガンダから教えてもらいました。


──みきさん、インタビューありがとうございました!

インタビュー日:2026年3月


Profile

金井 美紀(かない みき)

隊次:2023年4次隊

職種: 食用作物・稲作栽培

活動場所: Hoima県

配属先/活動内容:ブリンディ地域農業調査開発研究所/稲作に関する栽培実験、指導、蜜蝋ラップ作製・販売など

取材班からのコメント

 


UG取材班

写真:平沼(2023年4次隊)、福田&三宅(2024年2次隊)、和田(2024年3次隊)

文:三宅


 


コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page