【JOCVインタビュー】多田羅智子さん(2023-3)~助産師としてウガンダで輝く協力隊員~
- 2025年7月1日
- 読了時間: 8分
更新日:4 日前
ウガンダでJICA海外協力隊の助産師隊員として活動され、2026年1月に任期満了に伴い帰国された多田羅智子(たたら ともこ)さん。帰国直前の昨年12月に2年間の活動のふりかえりとして、後輩隊員が任地に訪問し活動内容や赴任先での生活の様子をインタビューしました。

Profile
多田羅 智子(たたら ともこ)
隊次:2023年3次隊
職種: 助産師
活動場所: Mubende県
配属先/活動内容:病院「Mubende Regional Referral Hospital」/分娩部、産褥病棟(産後ケア入院)、手術室での活動
【協力隊員に聞きました!!】
~2年間の活動を振り返って~
──最初に自己紹介をお願いします!
2023年度3次隊で助産師として活動しています、多田羅智子です。 配属先はムベンデ県の「Mubende Regional Referral Hospital」で、1年目は分娩部と産褥病棟(産後ケア入院)で産後のお母さんに関わっていました。2年目からは分娩部と手術室で活動しており、手術室では産科だけではなく普通の外科の手術にも関わっています。 ウガンダに来る前は、地元の大阪にある病院で助産師をしていました。
──大阪で勤務した病院は総合病院ですか?それとも助産院のようなところでしょうか?
私、7か所くらい病院変わってるんですよね。各病院に特徴がありますが、ほとんどが総合病院です。その中でも、病院によって例えば母乳を頑張っているところや自然分娩に力を入れている所などがあるので、その分野に特化している病院をその時の興味や関心に合わせて選んだりしながら、様々な病院で勤務しました。計20年弱くらい助産師として活動しています。

──1日のスケジュールを教えてください(平日)
6:30 起床 朝ごはんにミルクポリッジを食べる
8:00 出勤。8:15ごろから朝のミーティングに参加
9:00 ミーティング終了後、病棟に行って活動開始(昼食は食べない)
16:00 帰宅。家に帰る途中でウガンダのローカルフード(ロレックス or ボンゴ(飲むヨーグルトのような飲みもの) or 揚げキャッサバ)を購入
16:30 夕食/シャワー
22:00 就寝
──活動について教えてください
分娩部では、陣痛があり来院されたお母さんの状態を診察し、入院の必要があるかどうかを判断しています。また、医師と一緒に回診を行いながら、経過の確認を行います。そのほか、帝王切開後1日目のお母さんの全身状態が適切かどうかを観察し、出産の介助や、出生直後の赤ちゃんのケアにも携わっています。
手術室では、手術に直接関わるアシスタントナースとしての役割に加え、外回りを担当するランニングナース、さらに滅菌管理を主な業務として行っています。その他にも、手術前後の準備や片付け、清掃なども行います。
日本では手術室で働くことはなかったのですが、ウガンダでは手術に関わることが多く、全てが楽しいです。もちろん大変なこともたくさんあります。特に、帝王切開以外の手術に関しては自身の知識や経験が十分ではないと感じる場面もあり、難しさを実感することもあります。
──手術中のアシスタントは具体的に何をするのでしょうか?
そうですね、イメージしやすいのは先生がメスって言ったら渡すといった役割でしょうか。実際に切ったり縫ったりするのは先生しか出来ませんが、術野(手術を行っている、目で見える部分のこと)が見えやすいようにしたり、出血していたらガーゼで拭いたりと、執刀する先生がスムーズに作業できるようサポートするのがアシスタントの役割です。先生によってこだわりややり方が違ったりするので、そこに難しさがあったりしますが、それも踏まえて楽しくやらせてもらっています。
──(日本では出産前に一定期間お母さんが入院しますが)ウガンダではどうなんでしょうか?
日本のような流れではなく、どのタイミングでくるのかはその人次第なところがあります。出産直前になって切迫した状態で来る人もいますし、まだまだ来なくても大丈夫な時に来る人もいます。それは日本も似ています。ただ、日本は事前に病棟へ相談の電話がきますが、ウガンダはそれがないので、電話もなく突然来院されますね。
──生活状況はどうですか?何か困ることはありますか?
去年も今年も7月の乾季に断水しました。去年は3週間、今年は2週間断水して、それはかなり大変でした。断水の間は管理人さんがジェリ缶に水を汲んできてくれます。管理人さんはいつもすごく良くしてくださってありがたいです。
電気に関しては、ソーラーがついているので携帯の充電等はできます。ただ、ソーラーはちょっと照明が暗めなので気分は萎えます笑。あとケトルが使えないのがネックですね。
それと、はじめは隣の子どもたちが騒がしくて少しストレスでしたが、今では彼らが癒しになっています。いなかったらいなかったで寂しいです。

──任地のいいところ、悪いところを教えてください
いいところは、ほどよく静かでほどよく物も揃っているところです。ものすごい田舎でもないから道も舗装されているし、困らないし、それでも穏やかな雰囲気があって「ちょうどよい」ところがとても好きです。
悪いところは、休日にやることがあまりないことでしょうか。でも強いて言えばという感じなので、そこまで思いつかないです。
──任地でのモチベーションの保ち方を教えてください
行き詰まったときはカンパラにテニスをしにいきます。また、ムベンデでは、病院以外にも行く場所をつくるようにしています。活動のメインが病院なので、休みの日には子どもたちとプールに行ったり、ホテル併設のレストランや常連のお店に行ったりしています。活動先以外の知り合いを作って、違うコミュニティにも顔を出すというのがいい息抜きになっています。

──ウガンダ国内でのおすすめスポットはありますか?
カプチョルワのSipi fallです!ガイドさんと一緒に滝のすぐ近くまで行けて、とても迫力があります。アブセーリング(ロープを使って滝に沿って降りていくアクティビティ)などもよくおすすめされるので、トライするのもいいかもしれません。とにかく大自然が圧巻で、山の上なので空気がきれいです。
──来た時と帰るときの心境の変化(ギャップ)はありますか?
体調に関しては、この2年でお腹の調子を含め色々慣れました。ウガンダに来てからは大きく体調を崩すことはなかったです。
気持ちの変化に関しては、よく言えば、色んなことが許せるようになりました。去年はウガンダの人たちに対してイライラすることがよくありました。病院の中でも、街中でも。最初は、歩くの遅いわとか(笑)、小さいことにもイライラすることがありましたが、それがだんだん許せるようになってきました。良く言えば許せる、悪く言えば諦め、そういった境地に着地しました。
──活動先でも、特に専門的なものだと色々思うこともありそうですが、取材時には配属先の方ととても良い関係も築いているようにみえました。そこまでにはどんなことがあったのでしょうか?
去年は、「自分が何かしなきゃいけない」「何か新しいことを導入しなければならない」という思いが強くありました。でも、それらが必ずしも配属先から求められているものではないことや、私がやらなきゃいけないと思うことと配属先側がやってほしいことがかみ合ってないということに気づき、納得してからは、自分が彼らに合わせるようにしました。彼らは日本のやり方や改革を求めているわけではなくて、普通に働いてくれればそれでいいという感覚です。つまりマンパワーになるということですが、それでもいいと思えるようになりました。こちらばかりが意気込んでいても空回りしてしまうことに気づき、気持ちが変化したことで気が楽になり、活動が上手く回るようになっていきました。
もちろん譲れないところもありますが、一緒に働く人は全員ウガンダ人です。外国人が1人でムベンデで生きていくのには絶対周りの助けが必要になることを考えたりもして、そういった姿勢に変化していきました。

──多田羅さんにとってウガンダとはなんですか?
私の「仕事における、第二の人生の出発地点」です。
──最後にコメントをお願いします
本当に、住めば都だなと思います。1年前はそんなこと感じていなかったと思いますが、やはり2年目に入って心境に大きな変化がありました。皆さんももしかしたら色々もやもやすることがあるかもしれませんが、1年後は任地を大好きになっているかもしれません!
──多田羅さん、インタビューありがとうございました!
Profile

名前:多田羅 智子(たたら ともこ)
出身:大阪府
隊次:2023年3次隊
職種: 助産師
活動場所: Mubende県
配属先/活動内容:病院「Mubende Regional Referral Hospital」/分娩部、産褥病棟(産後ケア入院)、手術室での活動
取材班からのコメント
多田羅さんの住む街ムベンデは、穏やかでありながら必要なものもちゃんと揃いそうな場所で、本当に素敵な街でした。そして何よりも、ムベンデで活動し、生活している多田羅さんがとても生き生きしていて、多田羅さんが心の底からムベンデが好きだということがひしひしと伝わってきました。病院取材時にはたくさんのスタッフの方が多田羅さんに笑顔で声をかけていて、多田羅さんが病院で多くの人に信頼され、愛されていることがよくわかる取材でした。インタビューにもあったように、この2年間で様々な葛藤や悩みがあったと思いますが、たくさん悩んで試行錯誤した上でこうした関係性が生まれているのだと思います。私もまだ赴任して1年で、活動に関して上手くいかないことや先の見えない不安がありますが、多田羅さんの言葉に大きな勇気をもらいました。多田羅さん、2年間本当にお疲れ様でした!
UG取材班:北川野々子、三宅草一朗(2024年2次隊)
文:北川野々子
インタビュー日:2025年12月
















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