【JOCVインタビュー】亀ケ川愛さん(2023-2)~ウガンダで輝く協力隊員の挑戦~
- 2025年11月30日
- 読了時間: 9分
更新日:1月29日
ウガンダでのJICA海外協力隊(JOCV)、感染症・エイズ対策の分野で活動され、本年10月に任期満了に伴い帰国された亀ケ川 愛(きけがわ まな)さん。帰国直前の9月に2年間の活動のふりかえりとして、現地での日々や活動の楽しさ、苦労について伺いました。

「現場で見つけた、自分だからできる挑戦」
──自己紹介をお願いします。
2023年度2次隊で感染症エイズ対策分野でJICA海外協力隊に参加しました、亀ケ川愛です。
配属先はムピジ現地NGO「Children Support Organaization Mpigi (CHISOM)」で、業務改善やミシンを使ったスキルトレーニング、そして安価な布ナプキンの作成・販売に取り組んでいます。
──国際協力の仕事に興味を持ったきっかけは何ですか?
国際協力の仕事に関心を持つようになった原点は、高校時代に参加したアメリカでの姉妹都市交流でした。英語は得意ではなかったものの、現地での交流を通して言葉を学ぶ楽しさを知り、世界に目を向けるきっかけとなりました。さらに国連本部を訪れた際、9.11テロなどの世界の現実に触れ、国際社会の課題に関心を持つようになりました。
大学では英語を専攻し、留学を経験。コンゴや南スーダン出身の難民の友人との出会いを通して、アフリカの難民受け入れ地域における平和構築や共生社会のあり方に関心を深めました。卒業後は日本のNGOで、水や衛生環境の改善プロジェクトに携わり、国際協力の現場を肌で感じることができました。その経験から「難民を受け入れている地域で地場産業が育ち地域が発展していく、そんなプロセスに関わる仕事がしたい」と思うようになり、ウガンダをもっと深掘りしたくて「JICA海外協力隊」への応募を決意しました。

──活動を始めたとき、最初に苦労したことは何ですか?
どんな活動をするのかを決めるまでに時間がかかりました。前任者の活動を引き継ぐ形で始まったため、地域の小学校の先生やお母さんたちから「前と同じことをやってほしい」と期待される一方、配属先が本当に力を入れたいこととは必ずしも一致しませんでした。
最初の1年は、周囲の生活の流れを観察しながら、自分が何に注力するかを見極める期間でした。声をかけてもらってもすぐに応えられない罪悪感もありましたが、手を付けすぎると中途半端になってしまう。だから、じっくり見極める時間に充てました。
──注力するプロジェクトはどう決めたのですか?
「スキルトレーニングと布ナプキンの作成・販売」を組み合わせたプログラムを始めるにあたり、まずは、自分で形を作り、学校の先生や協力者に見せながら巻き込む方法を選択しました。完成品を見てもらうと、カウンターパートも理解して協力的になってくれました。初めてミシンに触れる子への指導も、自分が最初に教えてみせることで、プロジェクトが現実に動くことを体感してもらえたんです。

──布ナプキンプロジェクトを始めた理由は?
スキルトレーニングをしても、実際に顧客に製品を届けるところでつまずく人が多いことが課題だと思いました。さらに、家庭訪問や学校訪問で「生理用品がなく、学校に行けない女の子がいる」という現状を知り、スキルトレーニングと安価な布ナプキンの販売を結びつけるアイデアが生まれました。
──活動の中で嬉しかったことは?
布ナプキンを販売したとき、想定していた動線で女の子たちが購入してくれたことがありました。学校の集会でジェンダーや月経管理の話を伝えた後、近くのお店で布ナプキンを購入できる仕組みを整えました。
女の子たちも必要なものを手に入れられ、お店も新しいお客さんが来る。思い描いた動線が機能したときは、本当に嬉しかったです。
【取材班からの一言コメント】
『口で説明するより、まず自分でやってみる、自分の行動を通して伝える。』愛さんのその姿がカウンターパートをはじめ周りの人の心を動かしたんだなと実感しました。

「対話と信頼で進めるプロジェクト」
──カウンターパートとの協力は、どのように築きましたか?
最初は正直ぶつかることが多かったですね。活動初年度は、意見の違いややり方の差で衝突することが頻繁にありました。お互いに自分の考えをしっかり主張するから、違う意見を言い合うこと自体は悪くない。でもぶつかった後にどう寄り添うかを考え、翌日まで引きずらないのがお互いの性格に合っていました。
──ぶつかり合いをどう乗り越えたのですか?
時間が経つにつれて、お互いが嫌なことや負担になることを意識するようになりました。
初めのうちは仕事だけでなくプライベートなことまで話し合い、深く関わろうとしていましたが、今は「仕事の話は仕事の話」と割り切ることで、スムーズに活動できるようになりました。
──信頼関係ができた実感は?
自分がずっと見守っていなくても、カウンターパートが自分で判断して動くようになった時です。
例えば、スキルトレーニングの受講者の呼びかけや保護者への連絡など、最初は私自身が主体的に動いていたことも、今ではカウンターパートが主体的に動き、見守る立場になりました。自走する姿を見たとき、「嬉しさと達成感」を感じました。
【取材班からの一言コメント】
『ぶつかりながらも信頼を築く』対話と行動がプロジェクトを進めていくんだと感じました。

【地道な観察から生まれる成果」
──活動の中で、地道に続けていることはありますか?
普段は目立たない作業が多いです。家庭訪問や学校訪問、地域のニーズの確認など、日々の観察を欠かさないことが重要だと思います。理想は全家庭を定期的にモニタリングすることですが、以前は1年間全く訪問されなかった家庭もありました。その結果、ドナーへのレポートの質も十分でなかったんです。
──どう改善していったのですか?
まずレポートの提出先を工夫し、フィードバックを受けてから正式にドナーに提出する形にしました。
さらに回数を増やし、内容もより具体的で数字を含めたものに変更。少しずつ地道な改善が、活動全体の精度向上につながりました。
──観察から気づいたことは?
「些細なことの積み重ね」が、後々大きな差を生むと実感しています。
初めは表面的な活動に見えるものも、背景や人々の生活をよく観察することで、改善のポイントやより効果的なアプローチが見えてきます。
【取材班からの一言コメント】
目立たなくても、日々の観察と改善の地道な積み重ねが活動において大切なんだと気づきました。

【カウンターパートが語る 愛さんと共に歩んだ日々】
愛さんの活動先のカウンターパート(CP)にもお話を伺いました。
※カウンターパートとは、JICA海外協力隊(JOCV)が活動する中で、活動先の活動計画や実務で協力し、隊員を支えてくれる現地のパートナーのことです。
【CPプロフィール】
●名前:ベティ・ミレンベさん(ミレンベ=平和)
●誕生日:10月9日(ウガンダ独立記念日)
●経歴:Children Support Organaization Mpigi (CHISOM)で5年間ソーシャルワーカーとして児童支援に従事
●活動分野:教育・保健・児童保護
●活動地域:ムピジ町議会管轄区域の政府補助校3校

──CHISOMでの活動について教えてください。
CHISOMは教育・保健・児童保護を軸に、地域の子どもたちを支援しています。教材や給食の提供、家庭訪問による学習や衛生状況の把握、虐待防止、再利用可能な生理用ナプキンの指導など幅広く活動しています。
愛さんはこの活動において、革新的なアイデアを持ち込み、活動を推進してくれました。
──愛さんの活動についてどう思いますか?
愛さんは、本当に情熱的で、何事にも全力で取り組む方です。活動の計画から実行まで、自分で形にして示すことで、周りを巻き込み、現場の課題解決に向けて着実に進めてくれています。最初は戸惑うことも多かったですが、愛さんの行動を見て学び、協力することが自然になってきました。
──特に印象に残っている活動は?
「布ナプキン作りと販売を組み合わせたスキルトレーニング」ですね。
愛さんは最初、自分で試作して学校やお店を回り、仕組みを作りました。その姿を見て、私たちも活動に主体的に関わるようになりました。参加者が実際に成果を出す瞬間を一緒に見られるのが、とても嬉しいです。
──愛さんの人柄については?
真面目ですが、柔軟性もあると思います。時には意見がぶつかることもありますが、お互いの立場や考えを尊重し合いながら、活動を進めています。その姿勢がチーム全体に良い影響を与えています。
──チームワークやコミュニケーションで大切にしていることはありますか?
議論を恐れず、直接話し合い、理解し合うことが大切です。誤解や情報の齟齬は言語の違いや文化の違いでも生まれますが、チームとして話すこと、概念とタイミングを理解することが重要です。愛さんとの関係も尊重とコミュニケーションを軸に築かれており、それが活動の成功に直結しています。
──愛さんが帰国した後もこれらの活動を継続していきたいですか?
はい。もちろんです。愛さんとの協力で始まった活動は、人々の生活に直接影響を与えるものです。私は自ら機械を探し、財団を設立して再利用可能なナプキンを作り、販売・寄付する予定です。愛さんが帰国しても、活動は持続可能です。
──最後に ベティさんから愛さんへ
愛さんは私にとって妹のような存在です。去るのは寂しいですが、今後も連絡を取り、活動や考えを共有したいです。愛さんは私の活動のきっかけを作ってくれた存在で、彼女と協力した2年間は私にとってかけがえのない時間でした。
──最後に、愛さんにとってウガンダとは。
「新しい経験と視野をくれる国」です。
──愛さん、インタビューありがとうございました!

インタビュー日:2025年9月9日
Profile

亀ケ川愛(きけがわまな)
出身:山梨県北杜市
隊次:2023年2次隊(任期満了につき10月に帰国)
活動場所:Mpigi (ムピジ)
要請内容/配属先:感染症・エイズ対策/Children Support Organaization Mpigi
【取材班コメント】
ムピジは自然に囲まれた活気あふれる町で、マーケットや道を歩くたびに、愛さんの友人たちが次々と声をかけてくれるのが印象的でした。町を歩く中で、これまで愛さんが地元の方々と築いてきた絆を肌で感じることができました。配属先を訪問した際には、カウンターパートのベティさんがまなさんの始めたナプキン作りを地元の方々に自ら指導しており、その姿がとても印象に残りました。地道な活動が大きなうねりとなり、活動先自ら活動を継続するという、JOCVの原点とも言える形を築き上げた愛さんの努力と情熱に心を打たれました。
インタビュー中は、感動の涙が止まりませんでした。生活や活動の中での悩みや葛藤を乗り越えることで、人は大きく成長できるのだと実感しました。そして私たち取材班も、残りの協力隊生活を悔いなくやり切りたいと、改めて決意をすることができました。
取材にご協力くださった亀ケ川愛さん、ベティさんはじめ活動先の皆さま本当にありがとうございました。
UG取材班:上野泰世 難波優奈 三宅草一朗











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